長崎のお話
小学生のころ、8月6日と9日の朝は、毎年のようにNHKで平和記念式典を母親と見ていました。
福岡県小倉出身の母親はテレビを見ながら毎年のこんな話ました。
「長崎の原爆はね、本当は小倉に落とされるはずだったんだよ。でも小倉はその日曇ってたんだよ。だから長崎に落とされてしまったんだよ。」
曇っていたことに加えて、小倉はその前日に空襲に遭ったので煙が空を覆っていたようです。
あの日もし小倉に原爆が落とされていたら、小倉の人たちやその子孫である私たちの人生はどんなだったのだろう。そして長崎の人たちは・・・なんとも複雑な気持ちになります。
昨年の4月、初めて長崎平和記念公園を訪れました。そしてテレビで何度も見た平和記念像を見ることができました。
「右手は原爆を指し、左手は平和を、顔は戦争犠牲者の冥福を祈る」
厳かで優しいお顔をしていました。水平に広げられた左手は「平和」「平等」を感じさせました。力強く天を指す右手からは怒りを感じました。
上手く言えませんが私はずいぶん長い間その姿から目を離すことができませんでした。